迎え角30deg.跡地

もうここにはいない

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2006/09/22 02:24

2ヶ月前の記憶~第30回鳥人間コンテスト 

2006年の鳥コン道中の最終回です。

7月22日(土)

ガンガンガン
窓を叩く音で起きた。1時頃。
警備員さんが立っていて、どうやら車をどけろということだそうだ。
車を駐車場へ回送する。車で寝ていた連中も仕方なくテントに戻っていく。

メンバーの一人がマジカルバナナをやろうと言い出す。機体を支えてたり寝れなかったりするメンバーが参加して始まったのだが、一人がやたら興奮してて声がでかい。
ふざけるな、夜中だぞ。近隣住民には迷惑だし、他の寝ようとしてるメンバーの邪魔じゃないか。自分から気づいてやめて欲しかったのだが、本人はぜんぜん気づかないようだ。
さすがに怒った。ちくしょう。

他のメンバーはレジャーシートやシルバーマットを敷いてテントの中や木下で寝ている。石段に寝てるのもいるし、イスに座ったまま寝てるのもいる。
僕はメンバーの私物を置いてるテントで寝ようと思ったが先客がいた上に荷物がやたら多くつんであり、ふちの方は先の雨の影響で濡れている。誰かの親御さんの差し入れが散乱していたりしてヤバい。
どうしようもないのでシルバーマットを引っ張り出して木下に敷いて寝た。

続きはかなり長いが、長すぎると言うツッコミは受け付けないのでよろしく。
あと、この先はネタばれが含まれるのでTV放送が楽しみな人は放映後に続きをどうぞ。

目が覚めると3時過ぎ。組み立ては4時からだからそろそろ準備を始めよう。とりあえず、自分の心の準備。

出発前に恐ろしい勢いでまとめた大会撤収までの手順・流れのリストに目を通す。そして去年見たものと重ね合わせながら順々にイメージを浮かべてシミュレーションしていく。
個人の荷物の移動、機体の組み立てからその過程でのテントの処理や他チームとの兼ね合い、機体を運んでプラットフォーム上での最終チェックまで。
実際のテントの様子や周りの様子を確認しながら15分ぐらいかけてイメージが固まるまでじっくり考える。

次に組み立て前ミーティングで言うことをまとめ、メモ。機体組み立てでの注意から組み立てに入るまでの荷物の整理の手順などをまとめておく。

ある程度整理ができたら実際に動き始める。動いてるのは実際のところ僕一人で他の人はまだ休憩中。
メンバーの私物を放り込んでおくために駐車場に回送したバンを取りに行く。

しる万の角のところで警備員に睨まれるが止める気はないようだ。湖岸道路を進みテントの裏の路肩に脱輪ぎりぎりまで寄せる。ここまで寄せれば邪魔にはならんだろう。

メンバーを徐々に起こし始め、トイレに行きたいやつは行ってくるように告げる。この先は長丁場だ。
数人のメンバーがローソン(トイレを貸してくれる)に向かう。

4時。組み立て前ミーティングの時間だ。ただ、ローソンのトイレが鳥人間たちで混んでいたらしく集合が遅れ4時10分にミーティングスタート。
他チームはもうだいぶ組みあがっているところもある。さすがに早すぎるだろう。

ミーティングでは普段の試験飛行での組み立ての注意に加え、大会ならではの注意を加える。観客のことや大会スタッフ、足場の悪さ、発電機の騒音など試験飛行とは違う条件が結構ある。
そして、作業手順。まず私物から機体回収までに必要となるもの(日焼け止めとか)だけを取り出し、荷物はバンの荷台にすべて放り込む。空いた小テントに機体の回りの工具や資材を移す。ブルーシートの類も撤去。
テントの湖岸寄りで主翼を組み立て、テントの脇で胴体を組み立てる。
主翼が組みあがった時点でテントを一つ崩す。そして翼胴結合。

「気合を入れてやるぞ!」と声をかけて作業スタート。

荷物の移動には時間がかかるような気がする。少なくとも去年はそう感じ「こんなチンタラやってたら機体が間に合わないよ」と心の中で思っていた(実際はとんでもなく早く組みあがった)。今年時計を見ながら作業していると大して時間がたっていないことが分かる。
おそらく、周りの雰囲気や大会という緊張感で必要以上に気が競ってしまうのだろう。指示を出す側が落ち着いていないと進むものも進まなくなってしまうから注意が必要だ。だいたい競技開始予定まで4時間もあるのだから焦る必要などない。機体の組み立てだけなら2時間ちょっとで組みあがるのだ。

積み下ろしから始める試験飛行と比べるとやはり事が運ぶのが速い。あっという間に荷物は片付いて機体が出せるようになった。

主翼を順々に出しながら結合していく。試験飛行ではつけていなかった、結合部分を塞ぐ透明なシートも貼っていく。マウントやキングポスト・上部張線の取り付けが終わり主翼パートは結合待機状態になった。

並行して胴体の取り付け、エレベータの取り付けを行っている。こちらは主翼の組み立てより若干時間がかかってしまった。その間に余剰メンバーで翼をしまっていたテントを畳んでスペースを空ける。

この時間になってくると完全に明るくなっていて照明はもう必要ない。
空は雲が多いが雨が降りそうな雰囲気ではない。西のほうにはちらちらと雲の切れ目も見える。
試験飛行と同じように翼と胴体を結合する。驚いたことに隣のチームはこの時間になってやっと動き出した。

琵琶湖の水位はここ数日の大雨で上がっているため例年機体を運ぶために通る浜の部分が完全に水没してしまっている。他チームはどうするのだろうと見てみると、どうやら機首の向きを180度逆にしているようだ。
浜から盛り上がった段丘の部分にコックピットを置きテールを湖側に突き出して運ぶつもりのようだ。確かにそのほうがいい。

うちのチームも逆にすることにした。とはいってもひょいと回せるものでもない。
最外翼がついていないとはいえ、この状態でスパンは約20mはある。障害物を徹底的に排除して、見張り人員を各所に配置する。
合図をかけて慎重に回転・・・完了。
回転途中で翼を支えてる一人が水没したけど、琵琶湖で運搬中に水没するのはお約束です(笑)

このあとプロペラをつけたり各所の細かいパーツの調整などしたが時間はまだ6時。

パイロットがOBの車でやってきた。
ここで記念写真を撮る。
朝ごはんを食べる、ウィーダーと菓子パン程度だが。あとバナナもあったか。
パイロットの健康診断のアナウンスが流れる。
何を調べられるかは良くしらんが、どうせ心拍と体温ぐらいだろう。あと適当な問診。
ここでダメだったらどうするんだろうな。

機体を交替交替支えながら待ってると、健康診断合格のステッカーを持ってパイロットが帰ってきた。
3つの現地チェック----設計・安全・健康状態----を通過したチームしかフライトはできない。これで3つ目のステッカーが揃ったということで「ルール上は」うちのチームはフライトできる。

かぎカッコつきで表したのは、文字通りルールブックに書かれたルールではという意味である。
大会スタッフは機体運搬中など全く関係ないときに、突然忠告をして安全審査を取り消すという理不尽なことをやってのける。また発進間際に機体の周りをうろうろする撮影スタッフ・発進の合図をする旗持ち係は恐怖の対象でしかない。
昨年の日大は発進間際にスタッフがプロペラにぶつかるという、肝を冷やしたどころではすまない経験をしている。酷い話だ。

8時前パイロットがアップを開始する。それと同時にTVクルーのインタビュー。
うちのパイロットは面白いことを言っただろうか。

8時。
競技開始である。開会式っぽいものが手短に行われ、1番目のチームがスタンバイに入る。

#1 東工大Meister

3年連続でフライト順抽選会で1番を引くという運命を持ち、「優勝候補」と言われながらも久しく表彰台の頂上に上っていない。
優勝候補が1番機なのだから会場は盛り上がらないはずがない。どのチームのメンバーもプラットホームに注目している。

プラットホーム上ではTVで放映するであろうパイロットいじりの撮影が完了したようだ。どうせ「目標は?」とか「ライバルは?」とか聞いてるんだろ。今田耕司のどうしようもない突っ込みもそろそろ飽きる。
スタンバイが整い、機体の周りからメンバー・撮影クルーが離れる。機体の前には赤旗を高々と掲げる大会スタッフのみ。

サッと赤旗が白旗に変わる。スタッフが機体の前から消えるとプロペラがゆっくり回転を増していく。実況の叫びが会場にこだまする。他チームのメンバーを含む観客の間には静寂が広がり緊張感が高まる。優勝候補の一番機。

飛ばないはずがないだろ?

そんな空気が流れつつも「もしかしたらね」という雰囲気が混じっているのも感じる。
機体が動き出した。そして当然のことのように浮かんだ。

まわりからは歓声とも安堵とも取れないざわめきが起こる。観客の興味は離陸後数秒にして早くも「どこまで飛ぶか」ということに変わったようだ。
しかしその数秒後に誰もが早とちりであったと気づく。

若干上昇気味であった機体がふわりと右に旋回した。観客席のほうに向かっている。すぐに左旋回しないと陸地が待っている。

早く左旋回しないと危ない

頭の中では数年前のCoolThrustのフライトがフラッシュバックしていた。陸地に接近してラダーを急舵、スパイラルに入りテトラポッド間際に墜落したあのフライトを。

早く旋回してくれ、祈った時間は数秒だったのだろうがとても長く感じた。
機体は曲がるそぶりを全く見せずに、徐々に高度を下げていき…

陸地に激突した

唖然とした。端的に表現するとコックピット部分がテトラポッドに飛び込んだ。観客は騒然となった。

テトラポッドから湖面に突き出しているMeisterロゴ入りラダーが痛々しい。
おそらく機体の周りにはヤジウマがたむろしているだろう。
パイロットの方とは最終説明会のとき話したことがあった。安否が心配だ。
救急車のサイレン。
あの状況になったとき自分はチームのリーダーとして冷静でいられるか、なんてことまで考えた。

そしてアナウンスが入る。
着地したということで失格。パイロットの方はお大事に。
だそうだ。放送するのか?
どうやら大会は続行するらしい。

(これ以降、抜けたチームや順番の前後があるかと思いますが、作業中で記憶にないだけなので他意はありません)

次のフライトは早稲田のWASAだったように思う。
引き起こしできずにそのまま琵琶湖。「ななめ45度!」とか実況が叫ぶような落下。

次は東海大学TUMPA。
主翼がもげて墜落。ことしはTFから不調だったように思う。

この辺からうちのチームも移動開始。機体の周りでてんてこ舞いになる。
前のチームが移動を開始しそうになったので、最外翼を取り出してスタンバイ。
前のチームが移動して空いたスペースで直ちに左最外翼を取り付ける。そしてプラットホームのほうに5mほど平行移動して右最外翼を取り付ける。
さて、移動開始だ。

機体持ってるやつは体調大丈夫か?必要な道具は持ったか?応援グッズは忘れてないな?

うちのチームは機体の運搬がへたくそである。これは毎年思うこと。
例年、前のチームのペースについていけずに、大会スタッフに怒られる。
どうしようもないんだよ。これ以上速くすると、メンバーが挙動不審になるのを知ってるから。

移動途中で止まると今度は機体接合部を塞ぐ作業と翼端のフェアリングを取り付ける作業をしなければならない。僕が製作中、左手首にカッターをぶっ刺してしまった、赤い左翼端フェアリングも取り付けられた。言っておくが赤いのは血のためではない。

フライトは京都大学Shooting Starsだった。
例年のようにパイロットの恋人がいて両家が揃いました、みたいなネタがあったかは知らない。離陸には成功したようだ。そんな記憶しかない。
気づいたら着水していてフライトは300m程度だった気がするが、よく覚えていない。こっちは移動の指示出しと日差しの熱で、頭の中に旧正月のときのように竜が踊っていたからな。

メンバーは疲労が蓄積している上に暑さで脳みそがとろけている。おそらく自分もだ。指示を出してるとよく分かる。
反応が鈍いやつがいたり、目がイッてしまったやつがいる。果ては指示と逆のことをしだす。「後部胴体遅く!」と指示を出すと速くなるのだ。

フライトは芝浦工大Team Birdman Trail。2人乗りの超大型機だ。
一度フライトを成功させてから毎年定常飛行に持ち込むことに成功している。
パイロットインタビューは2倍の時間がかかるんだろうかととろけかけた頭で考えていると、機体がスタートした。
離陸に成功し今年も無事定常飛行に入った。すげぇー迫力。
っと突然ありえない光景を見た。左主翼がNの字に曲がった。いや、カーボンパイプの桁だから曲がっただけではないだろう。折れていた。
バンッというカーボンの繊維破断の非情な音が響いてきて、機体は3つにバラけ水面に叩きつけられた。10mぐらいの高度からだからそんじょそこらの絶叫マシンよりずっと怖いだろう。いやはや恐ろしい。自分がアレに乗る役目でなくてよかった。設計ミスだろうか。安全率が少なかったのか。

他チームの心配をマルチタスクでこなしながら自分のチームは大会スタッフにせかされながら移動中である。
自分はなんとか脳みそがグラグラにならないようキープしていた。トップがダメになるともう終わりだ。気合の世界である。
ところがメンバーの動きがあまりに酷いので、とうとう移動中にブチ切れてしまった。あんなに怒鳴ったことは代表になって以来ない、たぶん。後ろに家族連れがいたがかまやしない。
漫画で描くならきっと自分の頭からは湯気が立っていただろう。
琵琶湖の水を入れたやかんを頭に置いたら沸騰したかもしれない。

いろいろハプニングがありつつもなんとか桟橋の付け根に到着。
大会スタッフがいろいろ指示を出してくる。
「リーダー!ここまで入れたらこっち向きに回すよ!」
大会スタッフの指示だしはうざい物としか認識していなかったが、ここでは結構頼りになった。こういうときは元気快活(を装い)返事をしておく。
「はい!わかりました!」
信じていいものと信じてはいけないものの区別は難しい。

ここでもメンバーの挙動が不審になりイライラした。で叫んだ。
「指示にない動きはするな!止まりやがれ!」
なんてこと叫んでんだ、俺。意味不明になってきている。普段の作業のときだったら一発ぶん殴ってるぐらいのイライラだった。
例年と機体の向きが逆になったため水没者が増え、危なく頭に血が上っていた自分は携帯をポケットに入れたまま危なく水没させるところだった。

とりあえず桟橋にさえ乗ってしまえば安心だ。あとは安全に隔離された一本道を運んでいくだけ。
応援団(1年生)がわかれ、応援席のほうに向かっていく。このあと彼らはTVカメラの前で全国放送されるかもしれない醜態を晒すことになる(笑)

うちのチームが桟橋に乗り切ったとき、東北大学Windnautsがフライト中だった。
人力プロペラ機ディスタンス部門が絶不調(このときの最高が300mぐらいだったかな)のときに奇跡のようなロングフライトが進行中だった。

ロングフライトの最中はひたすらに暇である。
どうやら、折り返してくることを考えているのか、決定的瞬間を逃してはならないと考えているのか次のチームを飛ばさない。

暇だ。

取り残されたレスキューボートが暇をもてあまして水しぶきを立てたりと遊んでいる(ように見える)。弁当を食ったりしている。そうだ。腹が減った。今何時だ。11時過ぎ。

このあたりから本格的に晴れてくる。日差しが暑い。下手に炎天下にいると熱中症になりかねない。この最中着ぐるみで応援しているWindnautsのメンバーは尊敬する。うちのメンバーが同じことをやれと言われたら今大会2回目の救急車になるかもしれない。

桟橋の上には日差しを遮るものはない。ぼんやり立ってるだけども頭の上で目玉焼きが焼けそうになる。こういうときは主翼の下で休むのが得策だ。雨が降っても同じだが。
夏の日差し、穏やかな風、休憩する各チーム、必死の応援。平和である。

実況が騒がしくなった。18km地点の折り返しに成功したようだ。すごいことなのだがすでに4,50分待たされてる身にしてもらえば退屈だ。いい加減早く飛ばしてバーベキューが食いたい。
大会スタッフがお弁当とお茶のペットボトルを抱えてプラットホームに登っていく。チラッと見ると「安様」と書いてある。ゲストの安めぐみの弁当のようだ。

ちくしょう、参加者にも何か振舞えよ。大会の説明会で「皆さんには一緒に番組を作り上げていってもらいたい」とか言ってたのはどうなったんだ。炎天下で何時間も待たされている出演者に水ぐらい配れよ。
熱中症で入院するようなのが出たらヤバいだろ。
と思ってたら、今度は「今田様」の弁当が通った。カツ丼か何かだな。本気で腹が減ってくる。

もうしばらく書くことはない。適当に機体を支えるメンバーを交替しながら、雑談をしていたまでだ。

東北大学が着水したらしい。会場全体から拍手。それまでのフライトとはオーダーが2桁も違うフライトをしたのだ。優勝に王手。
やっと桟橋で待機してた自分たちも動きが出る。移動のスタンバイ。

次は静岡大学のフライト。三ツ矢サイダーのような尾翼が印象的な低翼機。
強烈にダイブしながらなんとか引き起こし水平飛行に入った。主翼がUの字に近いぐらいにたわむ。いくらなんでもたわみ過ぎだろうと突っ込みを入れた瞬間、両翼の桁が同時に破断、Uの字が|__|の形になり着水。

この間に自分たちは機体を平行移動する。そろそろ坂道だ。
次のチームがスタンバイしている間にコックピットが上り坂の始点まで来た。
機体を若干傾けて坂道側になる翼端が地面に擦らないようにする。結構しんどいのだ。
自分は指示するだけで肉体的にはしんどくないが。

今度のフライトは横浜国大エアロスペース。先尾翼・後退翼・翼根上半角・リカンベント・中ペラなどといろいろ盛りだくさんな機体だ。
今年出場のプロペラ機の中で一番の変り種。
無難に450mぐらいフライト。

ここから自分たちは機体を坂道に持ち上げていく。軽い出来のはずだが、疲労が貯まっているのか機体を持ち上げて運ぶのはしんどい。

昨年、自分は右翼を支えていたのだが、左翼端側(坂道の上)に行ってしまった代表の指示が何も聞こえなかった。とりあえず、回りの動きにあわせたが動いている最中、とても不安だった。
今年は自分が指示出し役。機体の真ん中、コックピットのあたりから指示を出した。ここでも番組スタッフの支持は心強い。おそらく、自分が指示を受けることで自信を持って動けるということなのだろう。そこまでは全部自分の判断で指示を出していかなければならなかったから尚更だ。

自分たちのひとつ前は武蔵工大。残念ながら頭からスタ沈のようだ。

そして自分たちの番がやってきた。
スタッフにせかされるように、一息に機体を担ぎ上げる。辛い。
いや、自分は持たないから辛くないんだけどね。辛いだろうなぁって思うのが辛い。

プラホに人が上がり過ぎだ的なことで一番偉そうなスタッフのおじさんに怒られた。いいじゃねぇか最後の思い出だし。今年限りやつを応援席に置いていくほど鬼畜じゃない。

パイロットのインタビューが長い。機体のハイテク計測機器への突っ込みも無駄に長かった気がする。あれはTV放映で使われるのかどうだか。
そしておそらく応援団は恥さらし的応援をカメラの前に披露しているのだろう。そちらのほうはノーコメントとさせていただく。結局どんなものになったのか俺は知らん。TVに映って大爆笑ってのがおいしいね。

よく会った人に言われるのが、チームリーダーならTV映るよね?ってことだが恐らくそんなことはボートに乗るなりしない限り全くない。あくまで主役はパイロット。今年も自分がカメラに撮られた記憶はない。ホントか?映りませんよ、残念ながら。
影な役目が好きなのでいいです。

「跨ぐな!」
怒鳴り声に振り向くと、メンバーとスタッフの一人が睨みあい、周りの人たちがフリーズしている。どうやら下部張線をそのスタッフが跨いだらしい。
うちのチームでは下部張線は絶対に跨いではならないと言うルールになっている。もし引っかかるようなことがあれば機体の破損は免れないからだ。全重量100kgに60kgの人が引っかかればお互いにそうそうの被害が出るからだ。
疲れか暑さでイライラがつのっていたのだろうが、叫ぶことはないだろう。
スタッフには「うちでは絶対跨がないって言うルールでやっているので、ごめんなさい」と謝り、怒鳴ったメンバーには「バカやろ、こんなところで無駄なトラブルを起こすな」としかりつける。そんな代表職の憂鬱。

カメラが離れて「スタンバイ」の声がかかる。もう後戻りできない。
自分は機体の真後ろに陣取り機体の最終確認をする。

尾翼角度よし、計測器よし、スタンバイメンバーよし、フェアリング・ドアクローズよし、主翼左右バランスよし、白旗!行ってこい!!

パイロットの合図とともにプロペラが回り始めた。

3・2・1・・・・スタート!

機体が滑らかに加速する。アドレナリン全開、心拍MAX。
十分に練習したメンバーが無事に機体を押出す。

機体は?

ふわりと飛び出し、プラットホーム先端の影に消えた。

思わず息を飲む。

1秒後、プラットホームの先端から水平に進んでいく機影が現れた。

よっしゃぁあぁああ!プラットホーム先端にいるメンバーに飛びつく。
いけぇぇぇぇぇっぇ!!絶叫。このシーンはカメラに撮られてるかも。

風にだいぶあおられ機体は左右にぶれまくりだがなんとか前に進んでいるようだ。
そうこうしているうちに次のチームがプラットホームに上がってくる。
スタッフに小さなモニターを見るように言われる。残念だがそういうルールなのだ。
まぁ小さいところに集めてしまったほうがカメラクルーもメンバーの喜怒哀楽が撮りやすいだろう。

数分後、着水した。最後はエレベータをアップいっぱいまで切って限界での着水だったようだ。

記録が発表される。約720m。2km近く飛んだ去年から比べるとまだまだ。短くなってしまった。
安堵と無念の入り混じった微妙な量の拍手。どうやら現在2位らしい。
1位25km、2位720m。意味不明だ。

泣いてるメンバーが何人かいた。
作業場を失うという困難からなんとか立ち上がり、殺人的なスケジュールをこなし試験飛行を行ってきたのだ。涙が出る理由も分かる。
泣け。代表としてメンバーのこういう光景を見るだけでやりがいがあったってもんだ。

そして、自分も泣・・・かなかった。泣けなかった。今思い出しても嫌なほど冷静だった。
これからの機体の回収・解体・見学の顧問の先生の扱い・BBQ・片付け・帰りの運転・移転した機体保管場所などのことを考えたら泣けなかった。まだやることはたくさんある。
お約束で毎年代表が言う「鳥コンは家に帰るまでが鳥コンです」が頭をよぎった。余韻に浸るのはそのあとだ。

機体回収場所に向かうメンバーの一番後ろをついて歩く。桟橋にいる他チームに声をかけながら「がんばってください!」「お疲れ様でした!」
この瞬間が一番好きだ。

ぼんやり歩いて橋に差し掛かろうというとき、誰かが声をかけてきた。
「先生は今日は来てないの?」誰だ。
「はぁ、今日はいらしてないです」あっ!
無尾翼滑空機の神と言われたあの方だった。
あとで聞いた話だが、どうやらうちの活動をサポートしてくれた先生とは交流があるらしい。

機体回収は特に何も起こらずに終了した。(書くのが面倒くさくなってきたのもある)
特筆すべきは主翼桁が折れなかったこと。桁を作る技術がない上に貧乏チームのうちは使い回しが前提なのでこれは助かる。
とりっぱからお借りしたGPSも無事回収し返却することが出来た。
テントのところまで戻ってきて主翼や胴体をキャリアに戻す。
トラックを連れてくるのには若干時間がかかったが、積み込みは始まってしまえば自動的に進む。積み込みの技術が確実に若い世代に受け継げたのはよかった。

テントサイドでは日除け用のテントが組まれ、OB様方の差し入れによりBBQの準備が進んでいる。個人の私物を詰め込んだバンも到着し全員着替えが揃った。

フライト終了、片付け終了、BBQスタンバイ、着替え準備完了。さぁやることは?

3・2・1・・・・スタート!

琵琶湖への飛込みだ。メンバーを抱えて突き落とすのがうちのチームの慣わし。男女かまわずだ。
たいてい、パイロット→代表→主翼班→・・・・→積み込み班→Tシャツ班→etc.....
と延々と続く。ほら、隣のチームの人たちが唖然としてるぞ。

上がってきたらBBQだ。びしょぬれのままでも炎天下なので気持ちがいい。日の前にいたらすぐに乾くし。
なにやらゲテモノなどもいろいろ食った気がするが、〆は先代パイロットの作る特製焼きそば。これをたらふく食うとさすがに眠くなってきた。

そういえば、気にしていた顧問の先生は帰ったようだ。よかった、よかった。
表向きドライバーは休憩を取るということになっていたので、このバカ騒ぎを見られたら問題だろうと思っていたのだ。

宴が一通り終わると、休憩の時間だ。車組(=酒なし)は風呂に向かう。行き先はかんぽの宿。
酒を飲んでばか騒ぎしてる連中は酔いが回って沈みかねないので置いていく。いいだろ、さっき琵琶湖で清めたのだから。
「今日は人が多くて砂とか多いです」とか注意を受けるがそんなに気にならなかった。
去年も思ったが、このときの風呂が一番気持ちがいい。5月から作業の激務でゆっくりと風呂に入った記憶がほとんどない。これからはあんなしんどい作業がないんだと思うとほっとする。次年度のチームのことを考えるとあんまりほっとしているような気持ちでもないような気がするが。

風呂から上がりもとの陣地に戻ると酒を飲んだやつが数人倒れており、他のメンバーは片づけを進めている。酒を飲んで盛り上がったのだからそれくらいやってくれ。人任せのまま片付けが進んでいく。

ゴミ袋が何袋か置いてあったので近くにいたメンバーに燃えないゴミはどれかを聞く。そしてその袋にテントの前においてあった自分の靴を投げ込む。
これは去年の経験によるものだ。機体を運搬しているときは嫌でも湖の中に足を突っ込むときがある。そしてびしょぬれになった靴をフライトや片付けが終わるまで履いていなければならない。もちろん夏の日差しの下なので表面はすぐに乾いてしまうが、靴の中は蒸れ蒸れである。汗も大量にかいている。
この靴がどんな異臭を放つことになるかは自明であろう。
今年はこれを見越して靴を2足持ってきていた。

さぁ片付けもあらかた終わり、そろそろ帰還の準備だ。
大半のメンバーはムーンライトながらで帰ることになっているので、駅まで車で送らなければらない。
今日中に帰らなければならない先輩を米原まで送らなければならないという事態が発生し、若干混乱があったものの4回に分けて何とか運び終えた。電車にも間に合ったようだ。

そして自分は車組。地獄のような運転が始まるらしい。
まずキャラバンのドライバー役を引き受けた。一番近いSAまでの運転だ。
すでに疲労はだいぶ蓄積している。安全運転が出来るかは怪しいが他のやつらも果てているのでがんばるしかない。

やたらハイテンションのまま出発したものの、高速道路に入り助手席との会話もまばらになってきたあたりから、まぶたの上にダンベルが乗っかっているかのような状態になってきた。外の景色は真っ暗で先がよく見えないというのがよくない。目をつぶってもあまり景色が変わらないんですよ?
すでに最大の関心事は安全運転を通り越しいかに睡魔と闘うかになっていた。
大声を上げてみても、ガムをかんでもダメなものはダメ。生理的欲求に負けかけて一瞬死を意識した瞬間に、ある看板が目に飛び込んできた。
「SA 500m」
行ける!助かった!1kmの看板はどこで見失ったのだろうか、などと野暮なことを聞いてはいけない。外などまともに見れていなかったのだから。
なんとかSAの駐車場に滑り込むことが出来た。生きて家に帰れそうだ。
と思ったもつかのま、その瞬間深い深い眠りに落ちていった。

ステップワゴンの後ろの席に乗せかえられた自分はひたすら寝ていた。
途中どこかのSAで起きてテーブルについた気がするのだが記憶があやふやである。ほんとに降りたのかさえよく覚えていない。

意識レベルが正常値まで回復したのはだいぶ後だった。
駐車場に停車したゆれで目を覚まし窓の外を見た。若干明るくなりかけのSA。
「ここどこ?浜松あたり?」

「富士川だよ」

はぁっ!?!?!?
確かにそんな間抜けな声を出した気がする。ほら、助手席のやつがニヤニヤしてるぞ。
そんなに寝てたのか!驚きで眠気はすべて飛んでいった。
ってか誰が運転してたんだ?予定だと5人が2台を交代交代で運転するはずだったのに?
どうやらほとんど2人が気合で運転してたらしい。ホントに気合だ。

どうやら大休止を取るつもりらしいので朝ごはんを食べることにする。
フライトが終わったあと、おやつの時間ぐらいに食べたBBQ以来の食事。めちゃめちゃ腹が減っていることに気づいた。カレーライスとうどんのセットを食べた。それでも足りず売店でおにぎりを買い食べた。
お菓子も買いまったりとしていたら、そこまで運転していた2人が船を漕ぎ出していた。

こんなところで寝られると困る。というわけでステップワゴンの後部座席に収まってもらい自分ともう一人ずっと寝てたやつの運転で出発する。元運転手の二人は発車した瞬間には眠りこけていた。
結局、途中のSAで交代することもなく本郷まで帰ってきた。

ムーンライトながらのグループはすでに到着しているだろう。どこかの教室でのびているはずだ。
トラックもすでに到着していて、メンバー集合ののち、いつもの試験飛行の積み下ろしと同じように終了。

レンタカーを無事に返却する。
どうやら、今年の鳥人間コンテストは無事に終了したようだ。肩の力が抜ける。

やっと終わった。

この後、駒場図書館で翌日の試験勉強をしようとしたのだが、教科書を広げる間もなく寝てしまうという結果に終わり、全くの徒労であったことも付け加えておこうと思う。


明日はとうとうTV放映だ。
2ヶ月も待たせたが、どんな番組に仕上がったのだろうか。
それを見た感想もいつかまた書こうと思う。

「第30回鳥人間コンテスト」関係記事一覧

琵琶湖へ向け出発
琵琶湖到着
・第30回鳥人間コンテスト当日
第30回鳥人間コンテストTV放映

コメント

  1. BlogPetのそら | URL | #-
    きょうそらが差し入れされた!
    そらがコンへ影響するはずだったの。
    きょうはテントも差し入れすればよかった?
    木下へ親御は散乱された!
    いけちと参加された!
    (2006/09/27 11:22 :: 編集)

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